新型コロナウイルスの感染でもありうる関節痛はすぐ病院へ行くべきか

2020-05-21

新型コロナウイルスの初期症状に関節痛の報告を耳にするようになりましたが、疑問を持つ方もいるのではないでしょうか。インフルエンザウイルスに感染した時の症状の一つに関節痛が該当しますが、現状検体採取時の感染リスクから検査を控えている状態です。では、関節痛を発症した時、どのような対応が正しいのでしょうか。


関節痛はなぜ起こるのか

関節痛が起こる原因は様々です。関節にある軟骨のすり減りにより骨同士がぶつかることで痛むことがあれば、炎症反応が起きることで関節に痛みが出ることもあります。関節痛が起こる原因疾患は多くあり、関節が痛いから新型コロナウイルスに感染しているとも言い切れません。


風邪による関節痛の発生メカニズム

主にウイルスが感染して鼻やのどで急性炎症が起こる風邪症候群でも関節痛が起こることがあります。ウイルスを排除するために体に備わっている免疫反応が働き、プロスタグランジンE2という物質が産生されます。この物質が関節痛・筋肉痛・発熱などを引き起こす原因となります。インフルエンザウイルスに感染した時に起こる節々の痛みも同様にして起こると考えられています。


関節痛の発生は様々な要因から

感染症による関節痛はプロスタグランジンE2が関与している可能性が高いことを説明しました。では、それ以外の疾患の場合はどのようにして関節炎が起こるのでしょうか。

【自己免疫性疾患の場合】

リウマチ性疾患や炎症性腸疾患といった自己免疫性疾患でも関節痛が起こることがあります。自己免疫性疾患は、通常外敵から体を守るために働く免疫系が体の中に存在するものを異物として認識することで引き起こされる疾患です。リウマチ性疾患の中で関節リウマチが最も関節痛を連想しやすいと思いますが、関節リウマチは関節の中の滑膜という場所で炎症反応が起こると関節に痛みが生じます。この時は感染症の時と同様にプロスタグランジンが痛みの一因と考えられています。ただ、関節リウマチの場合は滑膜でも炎症が長期化することで骨破壊を起こしてしまうこともあるため、痛みを抑える以外の治療も必要になります。

【痛風の場合】

痛風とは体内の尿酸が多くなりすぎた時に過剰な尿酸が関節で結晶化することで痛みが引き起こされる疾患です。尿酸が結晶化した場所で炎症反応が起こり痛みを感じます。痛風発作は足の親指の付け根で起こりやすく、腎臓など関節以外の場所でも起こる場合があります。

【変形性関節症】

関節に負荷をかけすぎることで病態を形成しやすいと考えられているのが変形性関節症です。関節にある関節軟骨が少しずつ傷つき、関節内で炎症反応が起こることで痛みを感じます。さらに進行すると、軟骨がすり減ってしまい、骨同士がぶつかることで痛みが生じるようになります。


痛い関節痛は解熱鎮痛薬で対応を

関節の痛みはプロスタグランジンの産生を抑えることができる鎮痛薬の服用で改善することが多くあります。痛みが激しい場合は市販の解熱鎮痛薬を飲んで様子を見ても良いかもしれません。鎮痛薬には外用剤もあります。関節など動きがある場所にはゲルやローションタイプの鎮痛薬がおすすめです。解熱鎮痛薬は全ての痛みに効くわけではないため、気になることがあれば薬剤師や登録販売者に相談しましょう。また、解熱鎮痛薬の服用はあくまで対症療法で、疾患の原因を直接取り除くことはできません。長期間の服用は避けて痛みが続くようであれば受診を視野に入れてください。


早めに対処。風邪の関節痛の対策法

関節痛の痛みを軽減させるためには早めの対処が重要です。必要以上に負荷がかかる行動は避け、関節が腫れていたり熱を持っている場合は冷湿布を貼っても良いかもしれません。


すぐ病院へ行く前に帰国者・接触相談センターへ電話相談しましょう

新型コロナウイルスに感染した時の症状は関節痛だけでなく、発熱や咳なども現れることがあります。これらの症状が続く場合は、まず各地域に設置されている帰国者・接触者相談センターへ連絡して指示を受けましょう。「37.5 度以上の発熱が 4 日以上続く」ことが相談の目安の一つとして提示されていましたが、現在は 「37.5 度以上」という条件が見直され「比較的軽い風邪の症状」に変更されています。

一方で、高齢者や糖尿病や呼吸器疾患などの基礎疾患を持っている方は重症化するリスクがあるため、気になる場合は早めに対応してください。息苦しさなど既に強い症状が出ている方はすぐに相談・受診をしてください。


さいごに

新型コロナウイルス感染症の症状として最初に関節痛が出たケースも報告されています。関節痛から感染症は想像しづらいかもしれませんが、日々の体調管理を徹底して行い、違和感がある場合は外出を控えるなど感染拡大を防ぐ行動を取ることも必要かもしれません。


[参考資料]

一般社団法人 日本感染症学会 “新型コロナウイルス感染症 (COVID-19 infection)

一般社団法人 日本リウマチ学会 “関節リウマチ診療ガイドライン2014

宮坂信之 (1989) “mechanisms of joint destruction in rheumatoid arthritis 慢性関節リウマチの関節破壊はなぜ起こるか―サイトカインの関与―” 炎症, 9 (3): 193-199.

山中寿ら (1999) “痛風・高尿酸血症の病態と治療” 日本内科学会雑誌, 88 (4): 718-723. doi: https://doi.org/10.2169/naika.88.718

石田高志 (2018) “関節炎による痛みのメカニズムと薬物治療の最新の進歩” 日本ペインクリニック学会誌, 25 (2): 53-62. doi: https://doi.org/10.11321/jjspc.17-0007

厚生労働省 “新型コロナウイルス感染症についての相談・受診の目安

千葉県 “新型コロナウイルス感染症患者の発生について 令和2年2月23日